宗 眞理子 Mariko So

日本刺繍、ヨーロッパ刺繍を女子美術大学短期大学部に学ぶ。英国刺繍協会主催「Riches of Stitches ’96」展優秀作品賞、2012年第64 回 三 軌 展「 文 部 科 学 大 臣 賞 」受 賞 、国 際 公 募 展の入選ほか、国内の公募展の受賞多数。伝統技術を大切にしながらも、絹地・絹糸以外 の様々な素材(ビーズ、金糸、金箔など)を自 由に扱う。日常生活を彩る現代刺繍を研究創作中。女子美術大学非常勤講師。
刺繍扇子などは実用性もあるが、玄関や部屋に飾って涼しい雰囲気を感じていただくことも、推奨している。刺繍ブローチなども制作しており、自分自身と環境を飾るアートを意識している。



なぜ昆虫を題材にするのか?

東京目黒区で、名門私立小学校受験生を対象にした、お絵かき教室を運営していた時、子供たちに虫の絵を描いてとせがまれた。カブトムシやクワガタ、中にはヘラクレスオオカブトを持ち込む子もいた。自宅教室の庭にはバッタやカマキリもいて、子供らが捕まえてきては、絵をせがんだ。眞理子は図鑑を見て形を研究して、懸命に虫の絵を描いた。
いま、思うと、昆虫を題材に刺繍作品を制作しているのは、子供たちのおかげかもしれない。

Master of salvage

過去を愛し、蘇らせて生きるクラフツマン

小学生の頃、ラジオやカメラを分解しては、ネジや部品をガラス瓶に詰めて庭に埋めた。
クラシック音楽好きの父が大事にしていたモジュラーステレオを勝手に分解し、コンポに作り替えようとして失敗した。
新しい自転車は欲しくないと親にせがみ、古物屋で入手したポンコツを父が再生してくれた。
中学サッカー部では、ジャージの4本線デザインを壊して、なぜか3本線の偽アディダスに蘇らせた。

アナログレコードの音質をこよなく愛する

大学時代のバンド仲間は後にスターとなったが、卒業前にサイドギターから離れた。もちろんヘッドのロゴは偽Fenderだ。
前キャリアでは、欧州をアンティーク家具バイヤーとして巡り、自社で修復して商品化した。いま、自分の工房を立ち上げ、アナログレコードのためのモノを高級木材を使って手作りしている。彼が製作したスピーカーの前に立つものは、まるでそこでオーケストラやジャズメンが演奏しているように感じる。